【機】デジタルパンフレット用データ(2021年)
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ご挨拶 文化庁の統計では、日本全国で毎年8,000件以上の発掘調査が行われているといいます。この中には学術的な発掘調査も含まれますが、大多数は道路建設など公共の施設、建設に関わるもの、あるいは民間の住宅建設などに関わる事前調査によるものです。 人々の営みには開発が付き物です。開発に当たっては、事前に埋蔵文化財の発掘調査を実施することが法令化されており、記録に留めて保存措置をとることが定められています。文化財保護の立場から見ると、年間10,000件近くの遺跡が発掘調査されて、調査後には大部分が破壊される運命を背負っていることは、決して好ましいことではありません。だからこそ、記録保存による発掘調査は体系だった技術と知識に支えられたものでなくてはなりません。 また調査成果を報告書としてまとめ、広く社会に還元して生涯教育や学校教育、さらに町づくりに活用するには、正確で正しい一連の知識と技術が必要になります。したがって、それらの職務には高邁な理念と高い専門性が必要です。事実、これらの埋蔵文化財調査で活躍しているのは、いうまでもなく大学などの研究・教育機関で専門的に勉強してきた人たちです。 従来、埋蔵文化財調査に関しては、「資格」は必要ではありませんでした。しかし、近年は町づくりや都市計画などで積極的に埋蔵文化財を文化資源として活用する機運にあります。調査にあたっては、専門知識と技術の信頼性を社会に対してアピールして行かないことには信頼を得ることは難しくなってきました。考古学者と同じように、国民の皆さんが埋蔵文化財に理解があるとは限りません。そのためには専門性を保障する明らかな証明が必要です。考古調査士資格は正にそのような社会からの要請に応えるものといえます。考古調査士資格認定機構は、埋蔵文化財調査に携わる将来の専門家たちに対して、大学機関などで勉学した証として、資格を認定して、資格を与える機関です。 現在、全国の国立・私立14大学が加盟して考古学調査としての専門教育を行っております。できるだけ多くの大学が参加し、社会からの要請と信頼に応えられるようにして行きたいと考えております。考古調査士資格認定機構機構長

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